このページの情報は 2006年1月17日23時3分 時点のものです。 |
バリュー投資入門―バフェットを超える割安株選びの極意
最近でこそ、個人でも沢山のデータを取得可能な時代になったが、
一見、緻密そうにみえるが、作り方が雑である。
自分にとって、読む価値があると感じたのは、セス・クラーマンについて述べている、第13章中の『売りたがっている投資家』の節だけでした。この節には、セス・クラーマンが、経済外的理由で株式を売りたがっている投資家の存在を重視していたことが述べてあるのですが、この部分に、自分は非常に大きなインスピレーションを感じました。この節を読めただけでも、この本を買うのに、高いお金を払った価値があると自分は思っています。
著者が本書で推奨しているバリュー投資は、本流の現代投資理論をやや突き放したスタイルをとります。「バランスシートの分析に時間をかける」、「成長がもたらす価値を信用しない」、「CAPMとは異なったリスク管理を行う」、などの方法論が分かりやすく説明してあります。敢えて気になった点を挙げるとすれば、1)「バリュー・ポートフォリオがほとんど全ての期間と市場にわたって平均リターンを上回る好成績を上げている」といいながら、その裏付けは「多くの研究結果によれば」のほぼ一言で済まされている(反対の研究結果に対する正面切った反論はない)、2)バリューの源泉として「再調達コスト」という概念を持ち出しているが、説明があまり実務的とはいえない、3)本書の後半は、(よくある)有名な投資家達の分類とその成功例の紹介にあてられており、目新しさがない、などです。ただ、バリュー投資の文字通り「入門」としては、よくまとまっていますし、「ITバブル崩壊後にバリュー投資がいかに報われたか」などといった、後出しジャンケン的武勇伝が極力抑えられているのも、良心的に感じました。
財務諸表を読んだり、丁寧な調査を自分で行うことを厭わないタイプの人なら読んでも損はなし。 |
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